白蘭との戦いが終わって、

無事なツナを見たとき、



自分が死ぬかと思った。


胸が苦しすぎて。
















無事、並盛のアジトからボンゴレ本部に戻ってきた2週間後。

二人がいたのは執務室だった。




「…なぁ、リボーン」


「ん?」



そのときリボーンは、部下たちが持ってきた報告書を眺めながら、優雅にエスピレッソを飲んでいた。

でもその優雅な雰囲気は、綱吉の一言で壊れた。



「……莉奈が触らせてくれない」



何を言い出すのかと、綱吉にしか分からないくらいの表情の変化で綱吉を見てくる。

リボーンは感情表現が乏しいからあまりわからないが、これでもすごく引いている。



「…お前…、それだけ聞くと変態だぞ」



「違うっ!
10年前の俺たちが帰ってから、莉奈は俺が触れようとすると逃げるんだよ
髪触ろうとしただけでも!」



「それは変態っていうんだぞ
分かってるか?」


違う、と

何回ツナが言っても、半目で同じ言葉を返す俺にじれったくなったのか、



「あー、もう!
リボーンに言った俺が馬鹿だった」

ツナはそう言うと、どこかへ行ってしまった。



(誰に言っても同じだと思うが…、なんだ、俺がおかしいみたいな言い方、ダメツナのくせに)








それから数時間後、

莉奈が来た。




「はぁー、疲れた…」



おばさんっぽく肩を叩きながら向かう先は簡易キッチンだろう。



「あ、リボーンにも何かいれようか?
やっぱエスプレッソ?」



簡易キッチンの奥から顔を出して聞いてくる。



「あぁ、頼んだぞ」



「はいはーい」




しばらくしてエスプレッソのいい香りが漂ってきた後、莉奈がマグカップを二つ持って出てきた。

そのまま俺のところまで来て、いくつかあったイスに座った。



「はい、リボーン」



差し出されたそれを受け取り、香りを肺いっぱいに吸い込んでから口をつけると、肩の凝りがほぐれた気がした。



「はー…」



莉奈は向かいの席に座って自分用のココアが入ったマグカップに口をつけようとしている。



「…ツナが触らせてくれないと言っていたが、」


なんとなく思い出して言ってみたら、ぶっ、と莉奈が吹き出し咽せ込み始めた。



「なんっ、で、そんなこと…リボーンにっ、言うかな…」


「何だ、知られたくなかったのか?」



ムッとしてチラッと顔を見れば、真っ赤に染まっていて。



「…真っ赤だぞ」


「…わかってる」



そう言うと莉奈は、気分を落ち着かせるためか、ココアを飲み干す。



「…で?何があった」



あえて語尾を疑問系にせず、言え、と圧力をかければしばらく口をパクパクさせたあと、ゆっくり話し始めた。



「…ツナが帰ってきて、

嬉しかったんだけど、

会えない時間が長すぎて…」



そこで話しが止まる。

まさか気持ちが薄れたとかいいだすんじゃ…と思っていると。



「ツナに触られることにドキドキしすぎて、死んじゃいそう」


…は?

言葉がでない俺に、さっきよりも真っ赤な顔で莉奈が迫ってくる。



「ねぇ、どーしよう!
ほんとに死にそう!
だってツナが近くにくるだけでツナのにおいがしてドキドキするんだよ!?
目が合っただけで心臓バックンバックンだよ!?
どーしよう!!
助けてリボーンー」



そんなことを言われても、知らん。少しでも心配してやった俺が馬鹿だった。



「勝手にやってろバカップル共が」



莉奈を置いて執務室を出る。

あっまいココアを飲まされた気分だった。



「…エスプレッソ飲みてぇ…」























リボーンが出て行った後、



「莉奈っ!」



バタバタと、すごい勢いでツナが執務室に入ってきた。



「え…」



反応する前に抱きすくめられて、顔が爆発しそうなくらい熱い。



「ツ、」


「莉奈、俺、今日の仕事全部終わらせてきたからさ、莉奈が慣れるまで離さないから」


「!?」







(やめてーっ)

(よかった、嫌われたんじゃなくて)

(仕方ないから、教えといてやるよ)








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