「ねーツナ、見て見てー」


ガチャっとツナがいる部屋の扉を開ける。


「んー?な、に…」


あたしのほうを振り返ったスーツ姿のツナが、ピシッと音が聞こえそうなくらい固まった。

なんとなくだけど、ツナの頬が微かに赤いような…


「何、その格好…」

「ふふふー
今日の莉奈ちゃんは大人の女を目指してみましたっ☆」


期待以上のツナの反応ににやけが止まらない。













今日は、同盟ファミリーの集まりで、ちょっとしたパーティーがある。

ただの親睦会みたいなもので、参加者はパートナーを連れて来なくてはならないらしい。

もちろん決めたのはリボーンだ。


そしてツナのパートナーはあたし。


ツナが珍しく黒いストライプのスーツを着ることを知って、あたしが隣に並んでもおかしくないように赤の、背中ががっぽり空いたセクシードレスを選んだのだ。



「ねー、似合う?」


メイクもいつもより大人っぽくしたんだから、そこまでおかしくないはず。



まだ呆然としているツナに必殺大人の微笑みだっ!

…なんて思っていたら、



「…莉奈」


「ん……!?」



ツナに後ろから強い力で抱きすくめられた。



「えっ、ツナ、何…?」


腕を曲げたまま抱きしめられたから胸の前で交差するようになっていて身動きが取れない。

剥き出しの背中にツナの体温が伝わってきてドキドキしてくる。


「莉奈、何勝手にこんな格好してんの」


暖かかった気持ちが一気に冷えた。

え…、ツナ怒ってる?


なんで?
そんな思いが頭をぐるぐる回る。



「こんな莉奈、みんなが見たら…」


「…」



あれ?
もしかしての、もしかして?



「ツナ、」


「…」


「ツナ、かわいいね」



一度は冷めた気持ちがまた暖かくなっていって、自然と笑みが零れる。



「かわいいってなんだよ」



不機嫌そうなツナの声にさらに笑みが深くなる。



「だってツナ、それ独占よ…ひゃっ!?」



予想外のツナの行動に、言葉が途切れた。

──ツナが背中を舐めだのだ。


「ちょ、ツナ、やめっ…」



しばらく舐めてたかと思うと次はキス。

頭がぼんやりしてきてうまく働かない。

一瞬そこに痛みが走り、ゆっくりツナが離れていった。



「…そのままじゃパーティーに出られないね」



後ろから聞こえてくる満足げな声。



「?……───!」


や ら れ た!

急いで鏡まで見に行くと、くっきりついているキスマーク。



「しっ、信じらんない!
どんなに変態でもこんなことしない!」


今絶対顔真っ赤だ



「うん
俺、莉奈に対してはとてつもなく変態だから」



悪びれるふうもなく言うツナに、不覚にもときめいてしまったあたしは、ツナ以上に変態なんだろうな






寄るな、触るな、この変態!

(またそんなこと言って
ほんとは嬉しいんだろ)

(うううるさい!)




お題 Aコース







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