「みなさん、今日はお集まり頂き、ありがとうございます
今日24歳を迎えられる10代目のさらなるご成長を願って

乾杯」


『乾杯!』



壇上に立つツナと隼人。


隼人の合図で会場の人々、全員が手に持つグラスを上げる。


そして、「ボンゴレ10代目誕生パーティー」が始まった。




***





ツナと隼人が壇上をおり、こっちへやってくる。


でも、いろんな人々たちが挨拶するためツナのところに押し寄せて、なかなか進めない。




そんなツナを見た私は、ため息をついて目をそらすと、料理を取りに行くことにした。










10月14日、
ツナの誕生日

ほんとは二人でお祝いしたかったのに…



昼はボンゴレのみんなで、
夜はたくさんの人をよんでパーティー。

二人きりになる時間なんかあるわけない。


何日も前からこっそり計画していたのに、結局何もできなかった。



みんな女心がわかってない!


…なんて、言っても困らせるだけだけど。

ツナはマフィアの頂点に君臨するボンゴレのボスだし、このパーティーは9代目が開いてくれたもの。





苦笑はしても、断ることはできないよね、

そう、何回も自分に言い聞かせた。












ツナの仕事に関わらせてもらえない私は、ここにいる人たちがどんな人なのかも、わからない。


ツナはもちろん、隼人とか他のみんなも、囲まれてて話しかけられる様子じゃないし。


私は一人、壁の華を決め込んでいた。




***




美味しそうな料理に、色とりどりの飲み物がずらりと並ぶ机、その前に私は立った。

その位置からは、ちょうどツナが見えた。

ツナを囲んでいる令嬢たちのほのかに染まった顔も。



…あの人、ツナにくっつきすぎ!

あ、あの人絶対ツナ狙ってる


もう!
ツナも笑ってないで避ければいいのに!



自分があの中へ飛び込む勇気がないからこそ、いつもいじょうにヤキモキする。




ツナを凝視しながらやけ酒のようにカクテルをどんどん飲んでいた。








それからしばらくしてから、ツナが疲れたようにやってきた。


「莉奈、大丈夫だった?」


「大丈夫らない!
誰も相手してくれらいから…」

「…酔ってる」


「酔ってらい!」


「いや、あきらかに呂律がまわってないし
いつもはそこまで酔わないのにどうして今日はそんな…」



私はお酒に強いからちょっと飲んだだけじゃ酔わないから、ツナはなんで私が酔うまで飲んだのか不思議そうだった。



「ツナ、おたんりょうびおめれとう」



いきなりの私の言葉にツナが言葉をつまらせる。



「あー…、ありがとう?」


「二人きりのときり言いたかったけろ、もういいや」



そう言って私はまたカクテルを一杯、飲み干した。



「…莉奈、
ちょっとおいで」



少し何かを考えたツナは私の手を引いて歩き始めた。

どこに行くのかと思えばそれは外へ繋がるガラス戸の近くで。


「どしたの?」


「…」


「つなぁ?」



くん、と手を引っ張られたかと思えば周りは暗くなって、おどこにあたるのは柔らかい感触。


「え?」



おでこにキス、されてる…?



周りが暗いのも、よく見ればカーテンの裏側にいるからだとわかって。





ゆっくりツナが離れていったかと思ったら、次は口に。



甘くて柔らかい、ツナの香りに包まれる。







「…」


「…」


「頭、冴えた?」


「…うん」



暗くてよく見えないなか、ツナが笑ったことは気配でわかった。



「莉奈、
二人で…抜けよっか」


「…うん!」
















甘い一時


いまさらだけど主役が抜けちゃっていいのかな

隼人がなんとかするよ
俺の右腕、だからね
それより、今は俺のことだけ考えて?



20111014







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