会いたい
会いたい
会いたい



ひとりの部屋は押し潰されそうで

ひとりのご飯はおいしくなくて

どうしてもあなたに会いたくて


ベッドの上、ずっとツナの枕を抱きしめていた力を緩めて寝返りをうつ。



会いたい
会いたい
会いたい



溢れる気持ちを抑えようと、またツナの枕に顔をうずめたけど枕のツナの香りが邪魔をして。


「うぅーーー…」







…ツナに夜食持っていこう。
ちょっと話してすぐ帰れば、…いいよね。


長い長い葛藤の末、迷惑になることがわかってたけど、今思えば理由にならないような理由をでっち上げて。

今日ツナに用意していた晩ご飯を詰めたタッパーを持って、同じ敷地内にある本部へと歩いた。













もうほとんどの人が仕事が終わり、明かりがついてない廊下を、ひとり歩く。


いつもは明るい廊下が、とても長く思えて、またさらに寂しくなった。

…同じ建物内にいるのにな。


1週間会えなかっただけでこんな自分が弱くなるとは思わなかった。

ツナが甘やかしすぎなんだよ、とツナの笑顔が頭に浮かんだだけでもまた寂しさがこみ上げた。

もう、だめだなぁ。









もうしばらく歩いて、やっとツナの部屋の前の扉についた。

これまで誰にも会わなくて、ツナももしかしたら部屋に居ないんじゃ…、と頭をよぎったけど明かりが漏れていて、ほっとする。


「ツナー…」


どきどきしながら恐る恐る扉をおして声をかけたけど、返事がない。


もしかして明かりがついてただけ?

上がりかけていた気分が落ちていくのを感じながら、部屋の奥に入っていくと。



「ーーっ…」



不意に視界にうつりこんだハニーブラウンに高鳴る胸。


ツナは、執務机に突っ伏して眠っていた。



久しぶりのツナの寝顔にさっきとは違う気持ちが溢れる。

すき
好き
愛してる
だいすき

きゅー、と胸が切なくなって、思わずふわふわなツナの髪の毛に手を伸ばした。


…けど。



「うぇぁっ!?」



ガッと、何かにその手を掴まれ、そのまま抱き締められる。



「ツ、ツツツツナっ!!?」



体が密着してるところからツナの少し高い体温が伝わってきて、心臓が痛いくらいに速い。


は、離れ……心臓が…っ…。


ツナに聞こえるんじゃないかと思うくらい鳴る心臓。

びっくりして鳴ってるのか。
ツナに触れられてることが嬉しくて鳴ってるのか。

…多分後のほうだけど。








「…ツナ、」


バタバタしても一向に離れる気配のないツナに、暴れるのを諦めて大人しく抱き締められることにした。


「…ツナ、」


返事をしない代わりに抱き締める力を強くしてきたツナの背中に、自分も腕を回せば、またツナの力が強くなって。



「ツ、ナ…くるし…」



はふはふ、と一生懸命息をして訴えれば、少し緩まる力。

すぅ、と空気を吸い込んで一息付き、また抱き締めかえす。



「…莉奈、」


「…ん?」




「…あいたかった」




大切な物を扱うようにそっと紡がれたその言葉は、あたしの心をキュッと掴んで。


あたしだけじゃなかったんだ…。


そう思うと胸があったかくなった。



「…あたしも」





目を閉じれば、

そこにはいつもあなたが







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