珍しく高校生ツナです














…なんでツナはそんなに背が高いんだろう
机に座ってるのにまだ目線が合わないなんて

涙でぼやける視界の中、そんなことを思った。
目には時折鋭い痛みが走ってじわじわと涙が溢れる。

放課後、夕日差し込む教室で。








ツナと二人で窓から部活動生たちを見ながら話していたとき、突然強い風が吹いて、目にゴミが入った。



「いた…っ」



とっさに俯いて擦ろうとすれば、ツナに手を掴まれ。

…少しドキッとしたのは内緒ね。



「擦ったら駄目だろ」



あたしの手を離すと、その手で顔を包み込まれて見えてくるツナの顔。



「どっちの目?」


「あ、…こっち」



ばちっと目があって恥ずかしくて、

でも顔を挟まれてるから顔を背けることも、俯くことも出来なくて。

だんだん顔が赤くなっているのが自分でもわかる。


その間にも痛みは続いて、だんだんとツナの顔がぼやけていった。



「んー…
暗くてよくわからないな」


ちょっとごめんね、と前置きされて首を傾げれば、直後にくる浮遊感。



「…わっ……」



机に座らされて、ツナは挟み込むように手をついた。


それでもツナの目線はあたしの上にある。




「結構潤んでるけど…まだ痛い?」


「…う、ん」



じわじわ溜まっていく水はもう零れ落ちそう。

だんだん熱くなる顔はもう爆発しそう。




すると、やっと、水が零れて頬を滑り落ちた。

一緒に目に入った何かも流れたのか、すっと痛みは消える。



なおった…。


ほっとして小さくため息をもらす。



「…莉奈?」



ツナは不思議そうに首を傾けた。



「あ、もうだいじょ、う、ぶ…」



言っている途中、ツナの手がのびてきて目尻に触れる。

反射的に目を閉じれば残っていた涙が零れ、それはツナの手によって拭き取られた。



「…っ」



片目から見えるツナは、笑っていた。


「…よかった」



あーもう、夕日でもごまかせないんだろうな


真っ赤な自分の顔を想像して、寄ってくる顔に今度は両方瞑って、

あったかいオレンジ色の教室の中、


キスをした。











…ツナは天然たらしでもいいと思う。







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