君の隣で









「熱、あるだろ」



顔は火照って赤くなってるし、瞳は涙で潤んでるし…、なによりいつもの元気がない。

そう思った綱吉は菜乃佳に言った。



菜乃佳は気づいてなかったらしく少し驚いた顔をして。



「え、う…」



多分、嘘、って言いたかったんだろう。

言い切る前に顔が歪み、力なく足から崩れ始めた。


慌てて駆け寄り、クタっとした体を間一髪のところで抱き止めるとホッと息をつく。



「10代目!大丈夫でしたか!?」
「うん、間に合った」

「よかった」

「菜乃佳、辛そうだな」

「あぁ」



荒く苦しそうに息をする菜乃佳の背中と膝裏に手を差し込んで姫抱きにし、菜乃佳の額に自分の額をくっつけると、すぐに菜乃佳の熱い体温が伝わってきて。


…思ったより高いな


慈しむように頭をなでた。



とそこへ、


「綱吉様、ひとまず水と濡れタオル用意しました
どこに持っていきましょうか?」


菜乃佳にさっき、水を持ってくるよう頼まれていたメイドが出来事を察して心配しながら聞いてくる。



「じゃあ菜乃佳の部屋に」

「かしこまりました」


一礼して歩いていった。