ボンゴレ屋敷



「おら、行くぞ」




ジェット機が静かに着陸して、獄寺さんがわたしの腕を掴む。




イーヤーだー!



ずるずる引きずられていく私の意志は尊重されないのでしょうか
…されないでしょうね




自分で言ってて悲しくなったよ





「まぁ、千架の意志はどうなるかわかんねーけど、ツナは気に入った奴しか雇わねーからな
頑張れよ」



「…また顔に出てましたか?
てか、私は頑張らなくていいんですよ!」




「ははは、そうだったな」



「そうです!
だから山本さんまで引っ張らないでください!」




フレンドリーに話してくれる山本さんでさえ私の敵なんですか!?

私に味方はいるんですか!?



「いねぇよ」



「…」



もうプライバシーさえないんだ…




諦めた私は、ツナさん?に気に入られないことを祈った。

長い、長い廊下を引きずられて30分。



「おまえ、10代目に失礼のないようにしろよ!」



うわぁ、とうとう着いちゃたよ…



「千架、そんなに緊張しなくていいのな」



「緊張じゃなくて落胆です!
もうこうなったら、とことん嫌な奴演じてさっさと帰ります!」



覚悟を決めて目の前の扉を睨んだ。



…なんか黒いのが隙間から出てきてるけど大丈夫かな…









「10代目
いらっしゃいますか?」



獄寺さんが控えめにノックする。



「隼人?、…どうぞ」



中から、高くも低くもない澄んだ声が聞こえてきた。




「失礼します」

「よっ、ツナ」

「…失礼します」



最後に恐る恐る入っていく。



わ、広い!



入った瞬間目に入ってきたのは、趣味のいい、でも高級感溢れる執務室(たぶん?)。




「…誰?」


私がキョロキョロと広さに感動していると、ツナさんが眉を潜める気配がした。



「あ、神崎千架です今日、いきなりこの2人にラチられました」



「テメッ…!
違います、10代目
こいつがあの紙を見て電話してきたんです!」

「ウソはいけないのなー」



「そんなこと知りませんー」



早く帰って家でゴロゴロするんだからっ!


非難してくる2人にアッカンベーをして。



「と、言うことで、早く家に、ていうか日本に帰してください」


くるんと回りツナさんのほうを向いて、笑いながら言うと、



「…気に入らない」



不吉な言葉とは裏腹に、妖艶な笑みを浮かべて私を見た。


ん?

なんか嫌な予感…?



「あの…?
私が気に入らないって意味ですよね…?
なら私、もう帰っても…」


「だめ」



え、…えっ!?

じゃあ何が…?



もう完全私の頭はパニックだ。

そしてさらに、


「俺に初対面で笑いかけられたのが気に入らない」


頭を掻き回すようなことを言われて。


「…は?」



思わずマヌケな声が出た。




「ということで、千架は今日からここで働いてもらうから」



「……っ、いやいやいや!
意味がわかりません!!」



「よろしくー」



「話を聞いて………
あーっ、お二人さん出ていかないで!
…っ、家に帰してー!




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