いじわるなハニー
「ツーナっ!
ほら、行くよ」
「花梨、
ちょっ、待った!」
「やだ!」
花梨に手を引っ張られ、頑張って隠していた格好が露わになる。
「沢田かわいー!」
「花梨はかっこいー!」
「ありがとー」
「てか2人とも似合うね」
「沢田とか全然違和感ないし」
「うるさいな!」
そう、今俺はセーラー服を着ていた。
始まりは30分前。
花梨から誘われたトランプゲームからだった。
5回戦、様々なゲームをして、一番負けた回数が多い人がバツゲーム、というもの。
そして俺は見事負け。
…花梨とは同点だったから2人でバツゲームを受けることになったのだ。
「でもホントかわいいね」
「花梨うるさい」
「だってほんとのことだもん」
「かわいいて言われて喜ぶ男子とかいないから!」
「かわいいよ、ハニー☆」
「んなっ!?」
セーラー服を着た俺と、学ランを着た花梨。
それをニヤニヤと見つめるクラスメートたち。
「ほら沢田、ダーリン☆て呼んであげなよ!」
「はぁ!?いやだよ」
「え、ハニー
…呼んでくれないの?」
悪のりする花梨は俺の顎をすくい上げるし。
なんか笑顔もいつもと違って妖艶だし。
顔が赤くなる。
「い、いやだ!」
「ハニー…
なんで?」
「俺男だし…、
ハニー呼ぶな!」
「えー
ハニー顔真っ赤だからそんなこと言っても説得力ないなぁ〜」
「うるさいー!」
「いいじゃん
よんでよー」
じり、とにじり寄ってくる花梨に後ずさりしながら逃げても、教室だから結局壁に付くわけで。
「もう逃げられないね、ハニー☆」
「う…」
「大人しくダーリンて言っとけ、沢田」
「バツゲームの一部だと思って」
周りからの声も多くなっていく。
「ね!ハニー☆」
もうクラス中が俺に注目している。
あぁもう!
言うしかない!
「ダ………ダーリン」
「はい、ハニー☆
よくできました〜」
いつもの可愛い笑顔で、俺の頭を撫でた。
こんな花梨は、俺の彼女。