青い鳥
「…青い鳥、どこかにいないかな」
不意に花梨が口を開いた。
今思った、とでもいうようにポツリと。
「どうして?」
「青い鳥、ていう童話あるじゃん
青い鳥を見つけたら幸せになれるていわれて、兄弟でいろんな所に探しに行って、でも結局居なくて、家に帰って寝てたら、鳩が青い鳥になってたって話」
「まぁ知ってるけど…
幸せは実は近くにあるんだよ、てことでしょ」
「…」
「どうしたの?」
「…じゃあ私の青い鳥は…」
「?」
いいたいことが分からなくて首を傾げると、不意に花梨がネクタイをつかんだ。
「わっ!?」
頬に伝わる柔らかい感触と、花梨の甘い香り。
小さくリップ音が響いて離れていく花梨はふんわりと笑って。
「わたしの青い鳥はツナだね!」
ほのかに染まった顔で言われたら無性に花梨が愛しくなった。