少年





「告別式」の続きです
微妙に原作沿いだけど、思いっきり捏造です













それまでなかった意識が急に浮上して、

目を開ければ白い光のなかにいた。



何もわからないままじっと待っていたら、どんどん光が弱まっていく。



ふと、愛しい人の香りがした。

ボス…?



徐々に晴れていく視界の中、見えたのは、思い描いていたよりも一回り小さい少年。


よく周りを見れば、少し離れたところには目の前の少年と同じくらいの少年たちが数人いる。



あまり状況がわからないまま立ち尽くすあたしに、目の前の少年は眉を下げて笑った。



「よかった…」


「え?」


「あなたが未来の俺をかばって仮死弾を受けたって聞いたから、先にあなたを目覚めさせてもらいました」



え、ちょっと待って…。
仮死弾?
あたし死んだんじゃないの?

でもそれよりも…、



「でもなかなか起きないから仮死弾じゃなかったんじゃないかって…」


「あの…」


「はい?」


「…未来の、俺…?」


ふるふると震える指できょとんとしている少年を指差す。



「あ、いきなり言われてもわからないですよね
えっと、俺、10年前の沢田綱吉です」



ぺこりとお辞儀する少年は確かにふわふわのハニーブラウンの髪に琥珀のような澄んだ瞳。

顔だってあたしが知ってるより幼くてかわいい感じだけど、面影は同じで。



「…じゃあ、ボスは、」



そこからは言葉にならなかった。少年の体が光り出したから。


「え、なに、なん…」


「ツナ!なんか今から帰るってさ」


「え!?ちょっと待った、」


「ムリだな」


「リボーンーーーー!」



目の前で繰り広げられる会話を訳がわからず聞く。


帰る?
あ、もとの時代に?
じゃあボスは?



くるくると同じような疑問が頭を回るなか、少年はまたこっちに向き直る。



「すみません、なんかもう帰らなくちゃいけないらしくて…
未来の俺に会ったらよろしく言っといてください」


「あ、は、はい…
あの、」



ボスは…?、どうしても知りたくて尋ねようとするけど、そこで途切れた。


体が暖かい何かに包まれる。
…じゃなくて抱きしめられてる?


確かめる間もなく、すぐに白い光で目の前が見えなくなって、ずしっと、巻き付いてる何かが重くなった気がした。








「…」



「…花梨」




不意に呼ばれた名前に心臓が跳ねる。

だってこれは…。
この、声は…。



光が薄れてきたからゆっくり目を開けると、さっきと同じハニーブラウン。

でもさっきとは確かに違って。



「…ボ、ス?」


「そうだよ」



応えるように背中に回された腕の力が強まる。



「ごめんね、不安にさせて
極秘で計画を進めてたから、誰一人にも、計画のこと言うことはできなかったんだ」



気にしないでください、言いたくても、口を開くことができなくて一生懸命首を振る。

どうにか涙を引っ込ませて、深呼吸して口を開いた。



「っ、ボスが、生きてるだけで…、近くにいてくださるだけで…、いいです」



言い終わるか、終わらないか、わからないくらいのときにぎゅう、と強く、強く、抱きしめられて。

痛いのも気にならないくらい嬉しくて、
一度は引っ込んだ涙がまた出てくるくらい嬉しくて、

お互い、精一杯の力で、抱きしめ合った。








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