久しぶり





「あなたいつになったら結婚するの?」


「うるさいなー
お母さんだって私の年のころはまだ結婚してなかったでしょ」


「だってこんな時代よ?
早く捕まえとかないとお嫁に行き遅れちゃう」


「はいはい
私のことだからどうでもいいじゃん」


「よくないのー
若いおばあちゃんになりたいの」


「はいはい
じゃあ、いってきます」





もうこんな会話も日課のよう。

あまり気にせず、仕事に行くため玄関を出た。



いつもの電車に乗って無事座ると一息つく。





だいたい、
私はまだツナのことが…


お母さんだって知ってるくせに!





そんなことを思っていたら最後に見た、泣き笑いのような顔をしたツナを思い出した。



…ツナ、大丈夫かな


人を想いすぎるのに、マフィアのボスなんて。

ツナに合わないにもほどがある。



あれから3年、
ちゃんとやってんのかな?







20分ほど揺られれば、会社の前の駅につく。ツナが元気であることを願いながら電車を降り、会社に入った。





「おはようございまーす」


「あ!花梨!」




入るなり同僚の知佳が駆け寄ってきた。




「何?どしたの?」


「あんた、いつあんなかっこいい人と知り合ったの!?」


「へ?」


「なんかあんたを呼んでる人がいるんだけど!
早く行きなよ」


「でも場所がわかんないよ!」


「囲まれてるからわかるよ」



トン、と背中を押されて歩き出す。





…ほんとにあった。


人だかりが。





全然見えないし

もうちょっと経ってから来てみようかな…



くるっと身を翻したとき、



「花梨!」



…え?、この声…



それは、記憶のよりも少し大人びて。


でも間違えるはずのない、声。



「ちょっとすみません、通して…」



みんなを掻き分けながらこっちにくる、声の主。




「ツナ…?」


「花梨!久しぶり」




本物…?




「ツナ…」


「ん?」


「…ツナ」


「何、花梨?」


「…本物だ」




白いスーツを纏ったツナ。

なかなか白いスーツの人はいないからとても目立つけど、嫌な感じがしないのはツナが柔らかい雰囲気をしているからかな。



「ツナァー」



人目も気にせず、ツナに抱きついた。




「ごめん、迎えにくるの遅くなったね」



迎え?


ツナの顔が私の横にくる。



「…結婚しよう?」



低くなった声は、心地よく頭に響いて。




「…はい」



じんわりと、目の前がぼやけていった。






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