荒れ模様





「ねぇ、ツナー」

「…何」


…あれれ?


「…何で機嫌悪いの?」

「別に、悪くないし」

「え、でも明らかに悪いじゃん」

「……」



だんまりですか。

そーですか。



ほっとこうかな、と思ってたら、


「さっき…」


と、ツナが口を開いた。



「ん?」


「さっき、隼人と何話してたんだよ」


「さっき?」


「食堂で…笑ってた」


「あぁ、あれ?
別に他愛もない話だよ」


「どんな?」


「どんなって…
…て、もしかして?」


思い出せないような内容をどんなと聞かれても…
と苦笑いしていたら不意に頭に浮かんだ二文字。


うそ、まさかそんなツナが?
初めての気がする

なんかうれしいかも…




そんなことを考えているといつの間にか頬がゆるんだらしい。

ニヤニヤが止まらない。



「…何笑ってるんだよ」

「…いや、めずらしいなーと思って」

「何が」

「え、何がって…
隼人に嫉妬したんじゃないの?」

「しっ、と…?……っ!?」



ぼっと赤く染まったツナの顔。


「耳まで真っ赤」



いつもは見れない反応に思わず呟いた。

あの俺様ツナがこんななるなんて。



「かわいい、ツナ」

「うるさい」

「かわいい」

「うるさいな!」



怒ったように私の腕をつかんで引き寄せるツナは、恥ずかしさを紛らせるように私を抱きしめた。


「…ツナ、力強い」

「…うるさい」


そう言いながらも力を緩めてくれるツナを、好きだなぁと思った。





荒れ模様

こんなかわいい荒れかたは
女の子だったらみんなうれしいよね




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「見えない臓器の名前は」
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