青春の日々





目の前に広がる、写真の束。

花梨は少し笑みを浮かべて一枚の写真を手に取った。


「わぁ、懐かしい…」

「これは高3のときのだね」



溜まっていた写真を整理していると、ついつい思い出に耽ってしまう。


今日中に終わらせるつもりだったけど、もういいや。



「見て、これ体育祭の二人三脚」

「あー、最後ゴール前に二人でこけたやつ
こっちは文化祭だ」

「ほんとだ
楽しかったね」

「うん」

「これ…なんで空だけ?」

「それはね、なんか空見てたらものすごくツナに会いたくなったときの写真」

「会いにくればいいじゃん」

「だってツナ、風邪で休みだったんだもん
だから放課後にお見舞いに行った」

「あの時のか!
俺が珍しく熱出した日」

「そうそう」



思い出せばきりがない、二人で過ごした日々。

もう5年たつ今でも鮮明に思い出される。


心の中ではいつまでも色褪せず、綺麗に。




「…この子も、そういう当たり前の青春がいつかくるんだね」

俺は花梨のお腹を見て言う。



「そうだね
私たちの子だから絶対バカップルになるよ」


「うわ…
なんか寂しくなってきた」


「…もうお父さんだね
しかも女の子だから、お嫁に行っちゃうし」


「そうだね…
てなんか早くない!?
この話するの」


「あはは」


花梨のお腹を触っていると、少し動いたような気がした。








青春の日々


いつかこの子に訪れる、

キラキラ輝く楽しい日々



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