無謀
「ねー、ツナ
ババヌキしよう!」
「はぁ?」
「勝った人は負けた人に何でも一つだけ言うことを聞いてもらうの!」
「…いいよ」
やった!
これでツナに…。
「…」
「…」
無言の教室にカードのこすれる音が響く。
そしてどちらも残り2枚。
ツナの手が私のカードの引いてほしいカードとは違うほうのカードに近づいて…。
「はい、終わりー」
パサリと、キングのペアが私に見えるように落とされた。
「なんでぇぇぇぇぇ!」
「これで俺の8連勝だね」
不敵に微笑むツナ。
「なんで、なんで、なんで!
どこかに細工してるでしょ」
「はいはい、してないよ
そんなカードあさっても何もないから
止めようねー」
「やだー!
このままじゃ8回もツナの言うことを…
真っ黒大王なツナに
「花梨?」
すいませんすいませんすいません!何もないです!だからその黒い笑顔を止めてください!」
「じゃあ大人しく言うことを聞こうか」
「…はい」
「じゃあ目瞑って」
「ん」
5分が過ぎた。
いつまでたっても何もしてこないツナに不安になる。
「…ツナ?」
目を瞑ったまま呟いた瞬間、ツナの手が耳の後ろに置かれて体が跳ねる。
「花梨」
「な、に…?」
心地良い声でささやかれて。
「俺、超直感持ってるから花梨に負けるわけないじゃん」
「…っ」
ずるい、言おうとした言葉はツナの唇に飲み込まれた。
キスが終わって目を開ければ、得意そうなツナの顔。
「あと7こ、
何にしようかな」
「…ずるいっ!」
無謀
勝てるわけないじゃん!