カウボーイ





風によって舞い上がる砂埃、照りつける太陽に、乾いた地面。

今、この場には二人だけ。




「出たな、ツナ!」

「あぁ」

「今日こそ…


逃げ切る!



私はだっ、と走り出した。










私とツナはカウボーイ。

争う気なんてないのに、なぜかツナは私ばっかり追いかけてくるのだ。



いつもは会ってすぐ捕まるけど、今日は違う!


会った途端に走って逃げたんだから!





「やったー
やっと勝てた気がする…
…ってわあぁぁああ!」



しばらく走った後、後ろを振り返るとツナの姿が見えて。



「なんでいんの!?」


「だって花梨が走るからじゃん」


「あーうるさい!
てかなんで私ばっかり追いかけてくんの
まだ他にもいっぱいいんじゃん!」


「花梨が好きだからじゃん」


「え
なに、"じゃん"て
初耳なんですけど」


「まっ、取りあえず
俺に大人しく捕まっときなよ」


ビュンビュン、と嫌な音がして振り返ると、あの、縄を私めがけて投げてきた。


妙にきれいに私は捕まり、ツナが笑顔で近付いてくる。



「え、まって
なんか怖いから!
こっちくんな!」


「なに言ってんの
俺優しいよー」


「うそつけ
真っ黒だろ〜!」


「はいはい」


「なにがはいは…んっ…!?」



視界いっぱいに広がるツナの顔と唇の柔らかい感触。



ツナがゆっくり離れていった。



「…もう逃がさないよ」


「いやあぁぁぁ!」








「…きて」

「…」

「…きて、起きて」

「…ん…」

「花梨、起きて!」

「うわぁ!…ん?」



目の前にはツナの顔。

でも周りは見慣れた私の部屋。

「…夢?」


「…なに見てたか知らないけどそうだろうね」


「え、じゃああのキ…」

「キ?」

「な、なんでもない!
(なんか恥ずかしいー)」






カウボーイ


俺にキスされる夢でも見たかな

まぁ寝てる花梨にキスしたんだし、夢に見てもおかしくないか

それで照れてるとか可愛すぎるんですけど

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