(離してっ!)



みんなが美海を見つめるなか、空気の擦れるような音がする。

美海の口が動いているから、とっさに喋ろうとしたのだろう。


その間もずっと灯っていた青い炎は美海が暴れたことで美海の手が武の手から離れ、消えた。

武は灯してないと言うし、これでさっきの青い炎は美海の力ということになる。



「…美海、今の…」



俺の言葉に、美海の体が端から見ても分かるぐらい跳ねた。


小刻みに震え始めた、細い華奢な体。

恐る恐るといった風にこっちを見た瞳は、不安と恐怖で揺れていた。




「…?」

なんで震えるのか

なんでその瞳は揺れているのか


わからない、

俺たちは炎を灯せるのが普通だから。



ここまで考えて唐突に理解した。



俺たちには普通だけど、

美海のような人には、
裏社会関係者じゃない人には、

普通じゃないんだ












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