「はい、皆さん
お静かにお願いします」



会場がざわめき、個室で他の客の顔は見えないが、みんな、彼女に釘付けになるのがわかる。

主催者のマイクを通して聞こえる声が、やけに大きく聞こえた。


「こちらが本日のメイン、"人魚"でございます!」





******






…あの人に飼われたときもそうだった



いろんな国の偉い人や、
サーカスの人、
マフィアや怪盗といった裏社会の人


たくさんの人の視線、好奇心にさらされながら司会者の人が会場を盛り上げて…

そして…
値段がどんどん跳ね上がる



ほら、今も


「750万」「900!」「1200」
「1500」「3000万」「5500」
「7000!」


〜〜〜〜


とうとう言い争うのは二人だけ

「3億!」「3億5000!」
「4億!」「4億5000」
「4億7000」「5億」
「5億1000」「5億2000」
「5億3000」「5億4000!」


「…………」


十数秒の静寂


「…それでは、この決着は"5億4000万"で

「10億」

!?」


あまりの金額に会場が愕然とする


「っ…只今"10億"が出ました!
これ以上どなたも出なければ決定になります
よろしいですか?」


『………』


「では、10億で決定です!」





あぁ、私はあの人のものになるんだ…


ボンヤリとそう思った。






そういえば彼もすごい金額をだしていた


…どうして私は彼を信じれたんだろう





思い出せば、
出会った時から確実におかしかったのに











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