しばらくして、ドアをノックする音が聞こえた。



「(はい)」



癖で、声で応えてしまい、あわててドアを開けにいく。

と、私がドアに着く前にドアが開いた。




「あ、ごめん
開けてもらうまで待ってたが良かった?」



顔を出したのは沢田さんだった。



ふるふると首をふり、沢田さんを中に通す。

沢田さんの後ろには、ひとりの女性がいた。



あ、
…この人がクロームさん?



思わずまじまじと見ていたら、小さく笑われてしまった。




「美海、もう分かってると思うけど、この人がクロームだよ」


「よろしく、美海ちゃん」



差し出された手。



「(よろしくお願いします!)」



握手すれば、その手はとても暖かかった。














「じゃ、俺どっか行っとくから
あ、美海
明日の朝、みんなを紹介するからここに迎えにくるね」


"うん、わかった"
そして沢田さんは出て行き、部屋には私とクロームの二人きり。




「美海ちゃん…」


"はい?"


「呼んでみただけ
綺麗な名前だね」


"ありがとうございます
沢田さんがつけてくれたんですよ"


「ボスが…?」


"はい…クロームさん?"



クロームさんはいきなり、考え込んでしまった。

そして深刻そうな顔で、



「ボス、意外とセンスがある…」



そんなこと言うから、思わず笑ってしまった。



「美海ちゃん、笑いすぎ」


"すいません
お腹いたっ…"



こんなに笑ったのは久しぶり…

彼のときは、大人しくしとかなきゃいけなかったし…




「もう…
美海」


"はい?"


「て呼んでいい?」



最初は言われてる意味がわからなかったけど、わかったら、なんか顔が熱くなった。

呼び捨てにされたことが、嬉しくて

こんな自然に振る舞えるのが楽しくて



"はい!"

笑顔で答えた。









友達


"そういえば、何で沢田さんをボス、て呼んでるの?"

「…ボスから私たちの仕事、聞いてない?」

"?…うん"

「じゃあ私からはまだ、いえないな」




…どんな仕事だろう?









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