二度の電話






ブブブブ…



穏やかに流れていく時間をふいに遮る振動。


伝わってくる方を見てみれば、仕事中だから、とマナーモードにしていたケータイだった。



「はい、」


「…っ、10代目!!」


「…隼人?」



ディスプレイを見ずに出たのだが、どうやら隼人だったらしい。




「10代目、てきしゅ…ガッ…ブツッ」



ツー、ツー、ツー


「隼人!?」



今、ガッ、って…



切れたケータイを見つめている俺を、菜乃佳は不思議そうに見ていた。




ブブブブ…



またケータイが鳴る。


今度はちゃんとディスプレイを確認して。




「クローム?」


「ボス…」



向こう側から明らかにホッとしたような気配が伝わってくる。



「どうした?」


「今、何者かに襲われてる」


「…もしかしてみんなも?」



さっと雰囲気が変わった俺をどうしたの、とでも言うように見つめてくる菜乃佳。



「そうみたい
ボスにかける前にみんなのケータイにかけてみたけど、みんな繋がらなかった」


てことは、みんなケータイのバイブに気づかないほどの敵。


「…クロームは?
大丈夫?」


「うん…
了平と雲雀が戦ってくれてる」


とりあえず一安心した。



「そこは了平さんと雲雀さんがいるから大丈夫だよね?
俺は他のみんなのところへ行ってくる
報告ありがと」


「うん…」


「じゃ」


じゃあね、通話を切ろうとしたら、



「ボス…」



クロームの声が聞こえてきた。


「ん?」



「…気をつけてね」


「あぁ、
ありがとう、クローム」









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