不穏の影





ん…

人の声がする…?


わずかに覚醒した頭でそんなことを考えた。


誰かがカーテンを開けたのか、窓から入ってくる太陽の光が強まり、まぶたの奥が痛い。


「まぶしー…」


顔の上に手をかざし、光を遮る。
ゆっくりと目を開けるとそこには見慣れたみんなの顔が。


「うわっ!…ん?」


びっくりして飛び起きようとすると何か、温かいモノにあたって。


「あ〜、そうだった」


見るとそこにはすやすや眠る愛しい少女。


「菜乃佳、起きて」


自分にしがみついてる少女の体を丁寧に外しながら、優しく揺さぶる。


「ん〜…」


目を擦りながらムクリと起きた少女は綱吉を見て、


「ツナ、おはよう」


ふわりと笑いかけた。


「おはよう…みんないるよ、菜乃佳」


「え?…ホントだ。みんな、おはよう」


菜乃佳はみんながいることに気づいてなかったらしく、辺りを見渡して言った。


「おう」

「よっ」

「おはよう、菜乃佳」

「おはようございます」

「気持ちのいい朝だな!」

「…おはよう」


それぞれの反応に満足したのか、菜乃佳はニコニコと綱吉の隣に座っている。




「2人とも遅いお目覚めだな」

今まで黙っていたリボーンが不意に口を開いた。


「そうだな、起こしにきたら2人で寝てるし」

「つか、菜乃佳、昨日いなかっただろ?」


山本と獄寺がみんなの言いたいことを代表して聞く。


「あ〜…えっとね、昨日の夜、また誰かに追い掛けられて…ってそう!ツナに言わなきゃならないことだけど…」


あ、そういえば昨日寝る前に言ってたな…と思い出す。


「何?」


みんなも、何だ?とばかりに寄ってくる。


そして衝撃的な言葉を発した。


「あのね、菜乃佳昨日追い掛けられたときにね、力、使っちゃった☆」




『はっ?』


みんなの体がはたから見てもわかるほど(特に綱吉)固まった。




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