再開





正一と電話をした次の日、恭弥さんに電話のことを話すとあっさり承諾してくれた。

ということで、今日は引っ越してから初めての正一との会議の日だ。


「じゃあ行ってくるね」


表向きは恭弥さんの様子見。
俺以外、誰も恭弥さんのアジトを知らないし、恭弥さんは知られなくないから、ということになっている。


そして玄関には隼人と菜乃佳が見送りに来ていた。

ほかのみんなはまだ片付けが終わってないらしいし、恭弥さんのとこへ行くだけなのに見送りなんていらない。

それでも来たのが、この二人だったのだ。


「いってらっしゃいませ、十代目」

「…隼人、
その言い方止めてっていってるのに」


苦笑いで返す俺にふてくされた菜乃佳の声が届いた。


「最近ツナ、恭弥ばっかり」


少し頬を膨らませて、俺を見ている。


「ごめん
恭弥さん、何しでかすかわかんないだろ?」

「それはそうだけどー…」


そこで納得するのはどうだろうか、とも思わない事もないが、それはほっとく。

まだ納得しきれてない様子の菜乃佳の頭を撫でて言い聞かせた。


「俺が帰ってくるまで、待ってて」

「はぁい…」


小さくながらもちゃんとした菜乃佳の返事を聞くと、俺は身を翻す。

と、


「ツナっ!」菜乃佳に呼ばれて振り返る。


いつの間にかすぐ近くに菜乃佳が迫ってきていた。

袖をキュッと握られて、頬には柔らかい感触、甘い香り。

菜乃佳にキスされてると気づくのに時間はかからなかった。

チュッと小さくリップ音を鳴らして菜乃佳が離れていく。


「いってらっしゃい!」


菜乃佳からしてくるのは珍しくて動けないでいると、首筋まで赤く染まった菜乃佳が走り去っていった。


何回もキスしてるのに、いまだに赤くなる菜乃佳が可愛かった。




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