それはまだ始まり







「…目的が菜乃佳なら、どうして菜乃佳を狙わないの」



ふらふらとおぼつかない足を動かして綱吉につかまれれいる百蘭に近付いていく。




「菜乃佳」


途中でリボーンに腕をつかまれて。



「離して!リボーン」



思いっきり引っ張ってもビクともしない。


「…っ」


キッとリボーンを睨んでも意味はなく、睨む対象を百蘭に変えた。


「なんで…みんなじゃなくて菜乃佳を襲いにくればいいじゃない!リングなんか奪おうとしないで」



じわーと涙が瞳を濡らしていく。


泣いたら負けだ
こんなやつの前でなんか、絶対泣きたくない



涙が零れ落ちないように気を保ちながら一生懸命百蘭を睨むが、


「その目、いいねぇ
涙なんか堪えちゃって
僕好きだよ、ぞくぞくする」



逆に百蘭の笑みは深くなるだけで。


そんな百蘭を綱吉がさらに締め上げる。


「いててて、…なんだよ、綱吉くん」



「お前、次、俺のファミリーに手をだしてみろ、手加減なんかしないからな!」



吐き捨てると投げるように百蘭から手を離し、リボーンと##NAME1##のもとへ。



「…いいのか、ツナ
今懲らしめとかないで」


「あぁ、菜乃佳にはなるべくそんな光景見てほしくない」


菜乃佳の頭の上でされている会話。





そして今日の出来事は、


…菜乃佳は、弱い
ツナたちのお荷物にしかなれないのかな…



そんなことを考えるには十分すぎるほど菜乃佳にとって残酷だった。