正体 「お前ら何者だ!」 すでに外へ出ていたリボーンは3人に銃口を向ける。 ひとまずリボーンに3人のことを任せ菜乃佳のほうへ戻り、出てきちゃだめだよ、と言い聞かせると、綱吉も車をおりた。 「…何が目的か知らないけど、俺にこんなことして…どうなるかわかってるよね?」 黒い笑顔で近寄っていく。 そこへ、 「ちょっと待って、綱吉くん」 緊張感のない声。 目だけでそちらを見ると、3人の人物の後ろから… 「お前っ…!」 …にこにこと、百蘭が歩いてくるのが見えた。 「あ、覚えててくれたんだ よかった それなら菜乃佳ちゃんも覚えててくれてるよね」 眉間のシワを深くして睨む綱吉とは対称的に、百蘭は人の良さそうな笑顔。 「菜乃佳はここにはいない 何の用だ!」 綱吉は吐き捨てる。 噛みつくように、でも冷静に。 「菜乃佳ちゃんが車のなかにいるのは知ってるよ」 「貴様…!」 「でも安心して、 今日は自己紹介しにきただけだから」 「誰がお前の自己紹介なんて聞くか リボーン、行くぞ」 踵を返し、車に戻り始めた綱吉を見て、相変わらずの一般人のような笑みを浮かべる。 こんな展開は予想済みだったのか。 特に慌てもせず、綱吉の背中に一言、投げかけた。 「ミルフィオーレファミリー」 ピタリと綱吉が止まる。 「知ってるよね? 最近、ボンゴレファミリーをよく襲っていたファミリーの名前」 振り返らなくても百蘭の得意げな雰囲気は伝わってくる。そして、信じられないことを口にした。 「僕がそこのボスだ」 カタン、 後ろのほうから小さく音がした。 「菜乃佳!」 車からおりた、虚ろな目をした菜乃佳だった。 ← → |