悩みとリング












深夜2時。


めいいっぱいみんなで騒いだ後、菜乃佳と綱吉は綱吉の部屋に帰った。


「ツナー?」

「んー?」


菜乃佳はまだ20歳になってないからお酒など飲んでないが、綱吉たちはベロンベロンに酔っていた。


「…何か悩んでない?」

「…」「酔ったフリしてるけどホントは酔ってないよね?」


本当はずっと思ってた。
ランボが夜、大怪我して帰ってきた日からずっと。


「…菜乃佳はすごいね」


ベッドに座っていた綱吉はおいでおいで、と菜乃佳を手招きする。


おとなしくベッドに寄っていくと、綱吉は菜乃佳に腰辺りに抱きついて顔をうずめた。


「それは菜乃佳にも言えないの?」


フワフワの頭をなでながら訪ねる。
こんなに弱気な綱吉は珍しい。




どれだけそうしていたのか、ふいに綱吉がポツポツとしゃべりだした。


「…ランボがおそわれたのは、リングを狙われたかららしい」
「うん」

「ランボの前にも、クロームとか怪我して帰ってきただろ?」
「うん」

「…それも、リングが狙われたらしいんだ」
「うん」

「今リングを使った戦いが重視されてきてるし、ボンゴレリングは他のより特別だし、狙われるのは当たり前だよな」

「…うん」



「もし…、もし俺が、リングを捨てたいって言ったら、菜乃佳はどうする?」


やっぱり。
ツナはマフィアのボスとしては優しすぎるから、仲間を想いすぎるから。


「…ツナがしたいようにすればいいよ?」


まだ吹っ切れていないらしく、菜乃佳が言うと抱きしめる腕の力が強くなった。


かと思うと、ふいに綱吉が菜乃佳#から離れた。


「後悔、しない…?」

「…うん」


ふんやりと微笑んだ。








「…ありがとう、菜乃佳」