不穏の影






「はあぁぁぁ!?」


一人遅れたリボーンの反応でみんなが我にかえる。


「菜乃佳、どういうことだよ!?」

「お前、正体バレてねぇだろうな!」「大丈夫!何も言ってないよ!力使ったのも路地裏だったし」

慌てて言い訳に走る菜乃佳に、

『そういう問題じゃない!!』


みんなから声の揃った一喝が。

「うぅ、クローム〜、みんな恐いよ!」


菜乃佳に助けを求めて抱きつかれたクロームはみんなのようには怒らなかった。


「みんな、そんな一気に怒ったらダメだよ」


いや、


「菜乃佳も、危なくなったら呼んでねっていつも言ってるでしょう?」


静かに怒っていた。


「…うん」

「菜乃佳の力は特別なんだから、誰かに見られたら菜乃佳を狙う人が多くなるかもしれないのに…」


クロームの瞳にはジワーと涙が溜まってきた。


「みんな菜乃佳のことを心配してるんだから」

「うん…ごめんね」