待ってるから。 連れていかれたのは駐車場だった。 ずっとあった嫌な予感がどんどん強くなっていってるのがわかる。 だめ、 この先は… 頭がそう言ってる。 歩く速さが落ちた菜乃佳をランボが振り返った。 泣いてはなかった。 でも、心が泣いていた。 「…菜乃佳さん、」 その声音は、疑問でもなく、強要するでもなく、 受け入れるしかない、と断定してるようで。 やっぱり… ドスンと、心に石が落ちたようだった。 しばらく歩くと、みんなが車を中心に集まっているのが見えてきた。 みんな、菜乃佳が来たのに気づいて道を開けてくれる。 そのときのみんなは悲痛に歪んだ顔をして、ランボと同じように、心で泣いているようだった。 そして、 「…ツナ」 車の中で横たわったツナ。 腹部に滲む、赤があまりにも鮮やかで、胸が苦しくて、涙さえも出なかった。 「…冷たい」 手を繋いだ大きな手、 何回もキスした唇、 よく抱きついてた体、 ゆるく浮かぶ笑顔も、 全部全部 色を失って、 人形みたいだった。 ← → |