さっさと退いていたヒロはすこぶる嬉しそうにメネとハイタッチをしていた。
「「だーいせーいこーうっ!」」
「君ら何なんだぁーっ!」
 おーいおいおい、ナウいはうずくまって泣き出した。楽しそうにしていた二人だが、見かねてそっと歩み寄る。
「ちょっといじめすぎちゃったかしらァ」
「ごめんねナウい、悪気はないんだよー」
 両側から肩に手を乗せる二人。
「ほら、最近ナウい色々悩んでたみたいだからさ……」
「少しくらい気分転換は必要かなって思ったのよ。だからこうしてからかってみたんだけど……」
 ナウいが顔を上げると、すまなそうな顔をした二人の顔。
「逆効果だった……のかな……」
「あたしの考えが浅かったみたいだわ……ごめんね、ナウ……」
「き、君たち……?」
 すっかりしおらしく反省モードの二人の様子にナウいは毒気を抜かれた。
 ――そうか、彼らは俺を気遣ってこんなことを……。
「……そうだったのか。俺のことをそんなに思ってくれて……ありがとう」
 ナウいは感謝の言葉を伝えた。それに対し二人は――
「感謝されるほどでもないよ!」
「そうよォ、これであんた変な趣味の持ち主だって勘違いされちゃったわけだしィー」
 けたけたと笑ってナウいの元から離れていった。
「……え」
「やっぱ面白いわー!」「さいっこー!」……こんな言葉が聞こえる。幻聴と幻覚を疑い、それからふるふると震え、
「ううううわああああ――!!」
 ナウいはがっくりとうなだれた。
 ご愁傷様である。


-end-

昏様:スイヘイリーベ



ナウいとメネ、ヒロで書いて頂きました。
予め指定させて頂いていたのはヒロのみだったのですが、「女装」というキーワードからこんなに愉快なことに…!(笑)
彼らの力関係をよく汲み取って下さっていて感激しました。
素敵なSSありがとうございました!



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