いつもと違う君


あーあ、私ってば本当に可愛いげのない女。あそこで「バカ」と言うんじゃなく、泣いとけば良かったと少し後悔する。


「でも、サンジが謝って来るまで口聞かないから!」


そう決めた私は、それから三日間サンジと目も合わせなかった。


「ちょっと、ナナ!何してんのよ」


三日間もサンジと会話をしていない私を心配するナミ。事情を説明すると、それはサンジが悪いと認めてくれた。


「だよね!私悪くないもん…」
「ナナ…」


ナミに慰めてもらっているとロビンが女子部屋に入って来た。


「食事出来たみたいよ」


私達三人は食事を食べに向かう。


「うめェ!!」
「おいしいぞ」


クルーの楽しそうな会話が広がる中、私は無言で食事を続けた。最後の一口を食べ「ごちそうさま」と一言残して女子部屋に戻ろうとしたところをサンジに引き止められた。


「ナナ、ちょっといいか?」


私は仕方なくサンジの後に付いて行った。甲板へ出た私は海を眺める。そして、その後ろには大好きなサンジ。


「ナナ、この前は悪かった」
「………」
「お前に男は落とせねェって言ったこと、悪かったと思ってる」
「……それだけ?」


何だか自分は本当にサンジが好きなのか分からなくなってきた。サンジは私にはいつも酷い態度だし。好きになんてならなきゃよかったんだ。


「ナナ…おれ、本当は」


後ろにいるサンジが私に近付いてくる気配がした。思わず振り返ると、思った通りサンジは私の近くまで近付いていた。


「サ、ンジ……」


サンジの顔を見ると、やっぱりドキドキしてしまう。女の子扱いされないのに、幼なじみ以下にしか思われてないのに、いつだって私をバカにするのに……どうして私はそんなサンジを好きになってしまったんだろう。


「ご、ごめん!戻る!」


私は咄嗟にそう言って、部屋へ戻るために走り出した。だって、サンジがいつものサンジと何か違ったから。


▽20110423