好きなのに


「サーンージー!」


キッチンで料理をしているサンジに近付く。


「何だよ、さっきから」
「んー?何となく」
「意味わかんねェ」
「いーの!」


サンジと会話をしていると何だか心が落ち着く。私にとっては、こうやってサンジと会話が出来るだけで幸せなんだ。何で今更気付いたんだろう。もっと早く自分はサンジのことが好きだと気付いていれば、何かが変わっていたかもしれないのに。って、そんなこと無いだろうけど。


「サンジの好きなタイプってどんなの?」
「ナミさんやロビンちゃんみたいな女の子」


躊躇うことなく言うサンジ。私はナミやロビンみたいに可愛くないから女の子扱いされないのだろうか。


「私って……、女の子らしくないかな?」
「まァ、結構ガサツだし男っぽいよな」


うわー、何だかグサッと来たよ。人の気も知らないで。


「どうすれば女の子らしくなれると思う?」
「とりあえず男の前で着替えんのは止めたら?」
「いつの話よ!!」


そんなの当たり前にやってない。小さい頃はやってたかもしれないけど。


「………好きなやつでも出来たのか?」


サンジからの突然の言葉に驚く。こんなこと聞かれるとは思ってもいなかった。


「…………」
「止めとけ、お前じゃ無理だ。男は落とせねェ」
「はァ!?」


料理をしながら、しれっと言うサンジに怒りを覚える。しかも好きな本人に言われるなんて。


「………サンジのバカっ!!」


私はサンジにそれだけ残しキッチンを出た。

好きなのに、どうしても喧嘩になってしまうの。本当はこんなことしたくないのに。でも、今回のは絶対サンジが悪い。私のことなんて幼なじみ以下に思われているんだ。きっと…――。


▽20110420