愛してる


あれからというと、私達は付き合うことになった。しかし、私達の関係は変わることはなかった。


「サンジー!」
「うるせェな、ちょっと黙ってろ」


彼女に向かってうるせェ、とはなんだ!本当に彼氏なのか!?


「よし、出来た」
「え、どこ行くの?」
「ナミさんとロビンちゃんのトコ」


サンジはそう言って、作り立てのマフィンを持って二人の所へ行ってしまった。

あーあ、やっぱり彼女でもナミやロビンには勝てないんだ。

一人、キッチンのカウンターに腰掛ける。ハァ、と溜め息をつきながらもサンジを待ってしまう。きっと、本当は私の一方的な気持ちなんだ。サンジは私のことを好きだって言ったけど、その気持ちは勘違いかもしれないし。なんて、そんな不安を抱きながら待っていると、サンジが戻って来た。


「サ…」


サンジ、と呼ぼうと思った途端、ギュっと抱きしめられた。


「ナナ……」
「ど、どうしたの?」


そう聞いてみても返事は無くて、ただそっと優しく抱きしめられるだけ。

これがサンジなりの愛し方なのかもしれない。不安なんて抱かなくてもいいんだ。


「私ね、サンジが好き」
「知ってる」
「サンジは…、私のこと本当に好き?」
「あァ」
「うん、知ってる」


私もサンジに答えるようギュっと抱きしめると、サンジは小さな声で「愛してる」と呟いたのは私しか知らない。


fin



▽20110525