答えはただ一つ


おれはずっと前からナナが好きだった。確か、物心付いた頃には既に好きになっていたはずだ。


「サンジ!!」


故郷を出てからナナには二度と会えないと思っていたが、ある日君はおれの前に現れた。ナナはおれが想像してたのよりずっと可愛くなってて、正直どう接すればいいか分かんなかった。


「サンジの好きなタイプってどんなの?」


急にそう聞かれた時は焦った。ナナはおれが好きなのかもしれない、なんて浮かれたり、逆におれ以外の誰かを好きになってしまったのかもしれないという気持ちになった。とりあえず、ナミさんやロビンちゃんみたいな子と答えると、ナナは自分は女の子らしくないか、とかいろいろと聞いてきた。

きっと、おれじゃなくて他の誰かを好きになったんだ。

ナナの話を聞いていると、そうとしか思えなくなってしまった。好きなやつでも出来たのか、と聞いてみれば無言。

なんでおれ以外のやつを好きになったんだよ。

つい、カッとなってしまったおれは酷い言葉を口にしてしまった。


「止めとけ、お前じゃ無理だ。男は落とせねェ」


何言ってんだか、おれ。これじゃ、ナナに嫌われちまうじゃねェか。

案の定、その言葉を口にしてから三日間はナナはおれと口を利かなかった。仕方なく、食事の後にナナを呼び止め謝ることにした。ナナと久しぶりに会話をすると、おれの気持ちは徐々に高ぶる。目の前には愛しいナナ。


「ナナ…おれ、本当は」


お前が好きだ。

勝手に口から零れてしまった言葉。危うく全部言ってしまうところだった。しかし、ナナはおれの前から立ち去った。

それから次の日、ナナはおれに話があると言い出したと思えば、好きだと言われた。

ああ、なんであの時おれから言わなかったんだ…。両想いだったんじゃねェか。

おれは愛しいナナを抱き寄せ、気持ちを伝えると、ナナはまるで林檎のように真っ赤になり泣き出した。

やべェ、一生離したくねェな。


(大好きだ、おれのレディ)


▽20110517