あれからレイナとはあまり話すことが無くなった。話したとしてもすれ違った時の一言のみ。


「最近、レイナと話してませんよね?」


一緒に食事をしていたアレンがオレに問い掛ける。


「それが、どーかしたか」
「いや……何となくですよ」


そういうアレンに「なら良いじゃねーかよ」とボソッと呟く。すると、突然後ろからリナリーに声をかけられた。


「ラビ!!何かレイナにしたでしょ!?」
「は?」


その言葉にオレは口に運ぼうとしていたチャーハンをスプーンから落とす。


「だって……最近、レイナがラビを見ると難しい顔するんだもの!」
「え……」
「ね!だから何かしたんでしょ?話しもしてないから……」


もしかして、まだ考えてくれてんのかと思いながらも「何もないさよ」と言うことが精一杯。


「あ、ラビ!ここにいたのか。ちょっと任務の話し良いかな?」


コムイに呼ばれたオレはアレンとリナリーに「じゃ!」とだけ言い、コムイの後を追った。




「…………という任務なんだ」
「分かったさ……」
「よろしくね」


任務の説明を聞き終えたオレは部屋を出る。すると、目の前には思いもよらぬ人が居た。
「ラビ………」
「レイナ」


何でこんなところに居るんだ……?


「あのさ……次の任務、大変らしいね。ちょうど聞こえてさ」


そう言いながら苦笑いをするレイナに「あぁ、すっごい大変らしいさ」とオレが言うとレイナは涙を流した。


「どうしたんさよ?」


俯きながら泣くレイナを覗き込もうとすると、レイナがオレに抱き着いた。


「ラビっ!」
「え、え!?」
「あたし、ラビが好きかもしれない!」
「…………………嘘だろ?」
「嘘なんかじゃないよ。強がりだけど、優しいラビが好き」


そう言うとレイナはオレに軽くキスをしてきた。


「レイナ……」


顔を真っ赤にしながら俯くレイナは「ちゃんと帰って来てよ」と一言。


「何がさ?」
「………任務。死んだら怒るからね、馬鹿ラビ」


あぁ、今聞いてたのか。コムイが「死を覚悟で」と言った言葉を。


「分かってるさ。こんな毒舌で、約束破るし、国語弱くて、野菜嫌いで、一人で何でも溜め込むようなレイナを好きになるのなんて、オレしかいねーさ」
「ラビってば……」
「大好きさ!」


オレは愛しいレイナをギュッと強く抱きしめた。


そんな君が大嫌いだよ
(大好きだよ)

fin


▽20110227