次の日、オレは昨日レイナと約束した通り、街の時計台の前に10時に居るが、やっぱりレイナは来ない。


「おせーな、レイナ」


事故にあったんじゃないかとか少し不安になってしまう。辺りを見回すと見たことある人影が見えた。ジッと目を凝らして見ていると、その人影はアレンだということが分かった。


「あ、アレン!」


アレンに話しかけるとアレンはオレを見て驚いていた。オレがこんなところに一人で居るのがそんなに珍しかったのだろうか。


「ラビじゃないですか!」
「なぁ、アレン。レイナ見なかったか?」
「あっれ〜?ラビ、レイナとデートですか?」


アレンはニヤニヤしながら言った。


「うるせーぞ、アレン」
「ちなみに、レイナならまだ教団に居ましたけど?」
「は!?マジかよ……。遅れんなって言ったのはレイナだぜ…」


ハァとため息をつきながら言う。それを聞いたアレンはプッと笑い、オレに「頑張って下さい」とだけ言って何処かへ行った。


「しょうがねーな。迎えに行くか…」


オレはレイナを迎えに行くために教団への道を歩き始める。15分程歩いて教団に着くと、レイナに会うために科学班の居る所へ行った。


「レイナ居るさ?」


科学班の奴等にそう聞くとジョニーが「あれ?ラビじゃん。レイナならラビと遊ぶって言って何処か行ったけど…」と答えた。何処行ったんだよレイナ。オレはジョニーに「ありがとさ」と一言残してレイナを探しに行った。色んな所を回りやっと見つけたと思ったらレイナは新しく入って来た科学班の奴と一緒に話して居た。


「…………オレより、アイツか」


オレは二人が話し終わるのを柱の影で待つ。だが、楽しく話している二人を見ていると段々胸が痛くなる。なんなんだ、これ。胸が締め付けられる様な、なんだか凄く苦しい。


「レイナ!」
「あ、ラビ!!」


オレがレイナを呼ぶと新米科学班の奴は「じゃ」と言って何処かに行った。


「レイナ………」


オレはレイナの肩にダランと乗っかった。レイナに触れた途端、さっきまでの気持ちがスーッと消えた。


「ラ、ラビ!?どうしたの…?」


レイナは不思議そうにオレを見る。「てゆーか、ラビ重い」とボソッと呟いたレイナの言葉は聞こえなかったことにしてオレはこう言った。


「あのな、お前…時間くらい守ろうさ」
「無視!?てか、今日は11時に時計台の前でしょ?馬鹿じゃんラビ!」
「レイナ〜〜〜〜っ!10時に時計台の前ってレイナが言っただろ!」


それを聞いたレイナは「あれ?」と首をかしげている。


「まぁ…、レイナが無事だったから良いさ…」


オレはレイナを強く抱き締めた。


時間を守ろう
(結局許してしまうけど)

▽20110227