「名前がいい」

「はい?」


ゾロを目の前に呆然とする私。なぜ呆然としているかというと、私がゾロの誕生日プレゼントを買い忘れてしまったせいだ。

これは少し前のこと。


「ゾロ!誕生日おめでとう!」

「ん、あァ」


筋トレをしているゾロに話しかけても素っ気ない感じだったので、プレゼント渡さなくても怒られないと思った私は、お祝いの言葉だけ残して「じゃ!」とその場を後にしようとしたが、ゾロに「待て」と言われて立ち止まった。やっぱりプレゼントあげなきゃダメ〜!?


「今、プレゼントなくてもいっかって思っただろ」

「え!?ゾロってエスパー?」

「今からおれが欲しいもの言うから聞いとけよ」

「私の話しはスルーなの?存在否定?」

「おれは、」


ゾロは動かしていた腕を止め、私をじっと見た。


「名前がいい」

「はい?」


ということで、今に至ります。


「だから、誕生日プレゼントはお前がいいって言ってんだ」

「冗談は止めてよ〜」


ケラケラ笑いながら言うと冗談じゃねェよ、と言われた。


「とりあえず、今日から名前はおれの彼女だから」

「え、ちょっ!」


なに言ってんのコイツー!!?


▽20111106