放課後に好きな人と手を繋いでデート。それほど憧れるものはない、と思っていたのだけど、今それが実現しています。まァ、手は繋いでるというか、引っ張られてる気がするけど。


「どこか行きたいとこあるか?」

「ど、どこでも!キッドといられるなら!」

「じゃァ、あそこの喫茶店入るか」

「うん!」


なんて幸せなんだ。今日の星座占い1位だったのかも。なんて浮かれながらキッドと席に座り、飲み物とケーキ(ケーキは私だけ)を注文。どうしてこうなったかと言うと、遡ること1時間。


「おい、お前今日暇だろ!?」


大好きなキッドからの突然の言葉。私は直ぐさま暇と答える。


「よし!じゃァ、遊ぶぞ!」


キッドは目線を私に向けずに、明後日を見つめながらそう言った。なんかいつもと違うと思いながらも、テレれている(?)キッドにときめいてしまう。同じクラスのローやルフィにはからかわれた。「もしかして、ユースタス屋…お前をデートに誘ったんじゃねェか」「お、デートか!?すっげーなァ」ローさん。貴方にそう言われたせいで私はデートかもって意識しまくりです!


「名前…、トラファルガーに何か言われたんじゃねェか?」

「い、いや!何もっ!」


そうか、なんかいつもと違う感じがしたから。とキッドは続けた。そんなに私を見てくれてるの!?自惚れてもいいですか!?と、言うのは心の中だけにしておき、落ち着かせるために水を一口飲んだ。


「お待たせしました。ジンジャーエールとアイスティーと桃のタルトです」


店員が注文したものを持って来て、私達はそれを一斉に飲んだが故に沈黙が生まれる。なにか話さなきゃ。


「キッドはジンジャーエールなんて飲むんだ!」

「ん?あァ。結構好きだぞ」

「へー、私にも一口ちょうだ……」


しまったぁぁぁ!なんちゅー発言を!飲んだら間接チッスじゃん!キッドはそんなことお構いなしに、私にほいと渡してくる。ここで飲まなきゃ怪しまれる。私はゴクリと唾を飲み、ジンジャーエールに手を伸ばす。


「………」

「の、飲まねェのか…?」

「の、飲む」


私はゆっくりとストローに近付き、ジンジャーエールを一口飲んだ。あー、緊張した。と思った矢先にキッドは私がさっき話し掛ける前に一口食べた桃のタルトを指差し、くれと一言。


「あ、うん」


キッドに桃のタルトを渡す。


なんか恋人みたいだね


思わずポロッと出てしまった言葉。


「あ、いや、これはね!」

「なら本当の恋人にでもなるか?」

「え!?」

「本当はデートに誘ったつもりだったけど、上手く誘えなかったんだ(トラファルガーのせいで)」

「恋人になってもいいよ。だって私もキッドのこと好きだもん!」


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◎七海さんリクエスト
放課後に同級生のキッドとデート

▽20110909