「へい!リゾートやっふー!!」
「え、なんなのお前。」

目の前にはキラキラ輝くリゾート島とでも呼べばいいのか。そんな島を見てテンションが上がってしまった私への叫びに、ウソップが冷たく答えた。かなり、冷めててちょっとびっくりだ。


島に上陸してみると、人がいっぱいでいっぱいでいっぱいで!ナミに聞いたら有名なリゾート島なんだって。すごいなー、リゾート!!

「ルフィー、リゾートだ!」
「おう!肉食いてぇ!」
「リゾートの肉絶対美味しいよ!私も食べたい!」

キャッキャキャッキャ騒いでルフィーと肉の旅に出ようとしたら、ナミに肩をガシッと捕まれて「あんたは私と一緒にショッピングに行くの、わかった?」って言いながら私をズリズリ街中へと引っ張っていくナミさんは流石です!(いっぱい服買いました!)

そしたら途中で「んナーーミすわあああん!名前ちゅわああああん!」って大声がして、振り向いたら想像通りの顔があった。
「名前達は買い物終わったのか?」と声がして、少し顔を下に向けると、ちっさなシカがそこに居た。

「ああ、うん、終わったよ。チョッパー達は?」
「俺たちも今終わったとこなんだ!」「そっか、じゃあ船戻る?とりあえず。」

ちらりとナミとサンジを見ると、そうね、とナミが答えた。



「ただいまー……って、あれ?」

荷物を持って、よっこらせっと船の中へ戻ると、甲板には緑の生き物が倒れていた。いや、寝ていたと言うべきか。
とりあえず荷物を部屋に戻し、また緑の生き物がいた場所へと戻る。
ぐーぐー、鼾をたてながら寝ている緑を人差し指でツンツンとつついて、名前を呼んでやる。
すると、ゆっくりと、閉じていた瞼を開かせた。その中にある彼の瞳が私をとらえる。

「ゾロおはよーう。」
「ああ、帰ってきたのか。」
「帰ってきた。ずっと寝てたの?」
「まあな。誰か船に残ってねぇと危ねぇだろ?」

むっくり、と上半身を起こした彼は、んんーっと気持ち良さそうに伸びをした。せっかくのリゾートなのに強制的に留守番をさせてしまった彼に、なんだか申し訳なくなって「ごめんね、ありがとう。」と言うと「別に。」と短い返事が返ってきた。

「ゾロ出掛けてないなら、今から行く?」
「あぁ?めんどくせぇ。」
「せっかくのリゾートだよー?出掛けなよーよーよー!」
「うっせぇな。俺は行かね、「私も一緒に行くから。」よし、行くか。」

即答かっ!!と心の中だけでツッコミを入れておいた。



「ほんと、ゾロも素直じゃないなー。出掛けたいならそう言えばよかったのにー。」
「ばぁか。お前が行くっつったからだっての。」

そして私は彼の顔を一度、いや、三度くらい見直した。なんなの今日のゾロたん絶好調じゃないか!と、普段と比べ、かなり素直な彼にニヤニヤしてると「ん、」と隣を歩く彼が私に左手を差し出した。

「な、なに?」
「手、」
「…て?」
「わかれよ。手ぇ繋げ、早く。」
「ちょ、どうした、ほんとどうしたロロノアゾロ!!今日なんか積極的じゃないかどうした私嬉しい!!」

私は少し興奮気味に彼の差し出された手に自分の手を繋いだ。すると指を絡ませてきた彼に益々胸がキュキュンっと高鳴った。(ああ、いつもこうならいいのに。)

「にやにやすんな、気持ちわりぃ。」
「うっさいばか好き。」
「ん、…俺も、好き。」

バッと彼の顔を見ると真っ赤っかで照れて視線を私が居ない方へと泳がせていた。ああ、食べたいです、じゅるり。可愛すぎます今日の彼。なんだこれ、リゾートマジック?リゾートマジックなのか?もうリゾートマジックでもなんでもいいやゾロが可愛いなら。なんて、一人で納得した私はとても上機嫌。

「ねー、どこ行く?」
「いや、特に行きたいとこはねぇな…。名前が居ればそれでいい。」
「お、おまっ、ちょ、おまっ、ばっ、録音するからもっかい言って!!」
「嫌だ。」



それから行く宛のない私達は、のーんびーり、ぶーらぶーらとリゾートを巡って巡って食べ歩きして食べて食べてウィンドウショッピングして見て笑って笑って歩き回った。そしたらもう空は赤くなってオレンジで、暗くなってた。「戻ろっか。」と彼をチラっと見ると「まだ二人で居たいけど、」仕方ないな、と少し残念そうに笑った。(そして私はとうとう頭パーン!ってなったよ。)



「なあ、」

船の真ん前まで戻ってきて、彼が足を止めた。街から少し離れてるから砂浜は静かで聞こえるのは穏やかな波の音だけ。キレイで透き通ってる海は月の光でキラキラ輝いてる。

「なに?」

クルリと身体ごと後ろを振り向くと、少し照れた顔した彼がいて。
なんだろうって思ってたら
「やっぱ、もう少し、二人で、その、居たいっつーか…」

なんて、後頭部をガシガシと乱暴に掻きながら言うから。もう私の口角は緩みに緩みきってそりゃもう大惨事だ。

「そうだね。」

と笑顔を彼に向けると、彼も笑顔を私に向けた。
近くにあった岩場に、二人並んで座ってみた。こんな事今までになかったから正直な話、少し緊張してたりする。チラっと彼の顔を盗み見ると、ずっと前を、海の向こう側を見つめてた。月明かりに照らされた横顔がなんだかいつもと違う雰囲気を出して、かっこよく見えた。(いや、いつもかっこいいんだけどね!)なんて思ってたら、彼が私の視線に気づいて、バッチリ視線が交わった。

「ゾロ、」
「…黙ってろ。」

名前を呼んだ瞬間、彼の顔がもうすぐそこにあって。低く囁いたあと、私の唇には、ふにっとした感触がした。「あ、あの、ゾロ?」と口を開けばやはり「黙ってろ。」と返され、そのあとは濃厚なキスをたっぷりと味わされた。
あまりにも濃厚で、少し息が苦しい。あーそろそろ限界だよ酸素いっぱい吸いたいよーと彼の胸を押すと何故か私の服の中に彼の手がスルンッと滑り込んできた。(な、ナンダッテエエエェ)

「ちょ、ちょまっ、ちょ、まっ、どうしたまじ今日どうしたゾロほんとどうした!いつもこんな場所でこんな事しないじゃん!!」

驚きのあまりに彼をひっぺがす。その表情を見ると何処か虚ろで頬が少し紅くなっていた。

「いや、そのー、なんだ、」
「…?」

右手は相変わらず私の胸を直に触ったまま「リゾートマジックだ。」なんて言って、とうとう私を押し倒した。




(あー、月がキレイだ。)
(お前の方が、)
(いや、もう恥ずかしい、恥ずかしいよロロノアさん。)


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◎リコさんより

企画のリクエストしちゃったらこんな素敵な作品がぁぁぁ!鼻血級ですよ!って鼻血が……w
素敵な作品をありがとう!


▽20120313