「なかなか居ないさね」


そうリサに問い掛けても返事がない。隣を見ると、リサの姿がなかった。


「あれ、リサ?」


すると後ろからリサの声が聞こえた。


「この人、貴方のナンパを断ってるでしょ!?しつこい人は嫌われるわよ」


おいおい、女の子がナンパされてる子を助けるってどーよ。どんだけ正義感強いんさ。


「うるせェな!女が口出しすんなよ!」


男はリサに向かって殴り掛かろうとした。オレが危ないと思った時には、既に男は地面に倒れていた。


「すげェさ、リサ……」


ぽつり、遠くで呟くと、リサはオレの名前を呼びながら走って来る。


「もう、なんでナンパ嫌がってる子を無理矢理連れて行こうとするのよ」


リサは腕を組み、怒った様子でオレに愚痴を言う。その時のリサが、なんか凄くかっこよく見えた。ってもリサは女の子だけどさ。


「凄いさね、リサ」
「え、何が?」
「ナンパされてる子を助けるの」
「そーおー?」


リサは少し照れながら、そう言った。


「そーさよー」
「………」


あれ、返事が来ねぇさ。リサを見ると、リサはじっと誰かを見ている。


「どーしたんさ?」
「あの人……、AKUMAだ」
「へ?」


いや、どう見ても普通の人っぽいけど。ナンパしてそうでもないし。


「あのさ、リサ…」


あの人は違うんじゃないのか、と言おうとした途端、リサはオレの袖を引っ張って後を追い掛けようとしていた。


「ちょ、リサ!」
「絶対そうだから!」
「……わ、分かったさよ」


その自信はいったい何処から来るんさよ。少し呆れながらも、渋々リサについて行くことにした。


▽20110801