「イタリアって…、凄いね」


ナンパをしている人を探そうにも沢山居すぎて、どれがAKUMAかなんて分からない。


「うっひょー!美人がいっぱいさ!」


なんだコイツ。目をハートにして輝かせながら辺りの女の人を見ている。


「変態……」


ぽつり、そう呟くとラビは何か言ったさ、と問い掛けてきたのに笑顔でいいえ、と答えてやった。この美女好きめ!


「あ、お姉さんヒマさ?」


ちょっとラビから目を離してしまった間に、ラビは女の人に声をかけていた。


「ちょっ!ラビ!!」


私は直ぐさまラビの元へ駆け寄り、耳を引っ張りながらその場を後にした。


「痛ェさ、リサ!」
「ラビがナンパなんかするからでしょ!?」


私が説教をし始めると、ラビは正座をしながらすいません、と言った。あれ、意外と素直。


「分かればいーの」
「ちゃんと任務を遂行します」


と、言いつつも数分経つとラビは私の手を握ってあちらこちらの店へ入る。


「このネックレス、リサに似合いそうさー!」
「ほんと?似合う?」


私はラビに薦められたネックレスを自分に当てて聞くと、ラビは首を縦に振った。


「ちょうど新しいアクセサリー欲しかったんだよね…」


ちらっと値札を見ると、私では買えない値段。


「うわ、高!」
「結構高いさね…」


私の後ろから覗くように見るラビも同感してくれた。


「今度安いやつ買うよ」


私はそっとネックレスを元あった場所に戻し、店を出る。


「次はどこ行くさ?」
「うーん、そーだなー……」


そこまで言いつつ、ハッと任務のことを思い出す。つい私もラビのペースに巻き込まれ、すっかり任務のことを忘れてしまった。


「ラビ!任務!」
「あ……、忘れてたさ」


あはは、と笑うラビを連れて次こそはちゃんとAKUMAを探すことにした。


▽20110714