スーパーに着き、カップ麺を2個と、お握りを5個、ビールを2本買った。それから次に近くにある洋服屋でジーパンとTシャツとチェックのシャツ(きっとゾロはラフな感じが好きだろうから)を買った。それからコンビニで下着とおつまみを適当に買って家に帰った。


「帰ったよー」


そう言っても返事がない。おかしいと思った私は急いでリビングへ行くと、ゾロはソファーで寝ていた。


「なんだ……」


少しほっとした気持ちでゾロを起こす。が、中々起きない。


「な、なんてヤツなの……」


とりあえず、起こすのは夕飯を作り終えてからにすることにし、夕飯の準備をする。といってもカップ麺だけど。あっという間に夕飯の準備が出来てしまい、ゾロを起こそうとゾロの体を揺さ振る。


「起きてー!」
「ん、沙枝か…」


突然、名前を呼ばれドキッとする。久しぶりに男の人に名前で呼ばれた、なんて考えていると、どうかしたか、と問われる。


「あ、いや!夕飯出来たよ!」
「おォ、ありがとうな」


そう言ってゾロはラーメンとおにぎりを食べはじめる。私はというと、ビールに手を伸ばし、フタを開けて一口飲む。


「美味し……」


一人だったらビール飲みながらブツブツと上司の愚痴を言うんだけどな、ってよく考えると私ってすっごく可哀相!


「なァ、なんか言いたいんじゃねェの?」
「え?」
「言いたそうな顔してるから」


ズルズルとラーメンを啜りながら言うゾロ。そんなに顔に出てたかな。


「私が言いたいのは上司の愚痴よ…」
「ふーん」
「ゾロにはわかんないよ」
「いいから。聞いてやる」


今度はおにぎりを頬張りながら何だか偉そうに私に言う。なら言ってやるわよ。


「私の上司ね、ちゃんと働かないし、全く頼りにならないの。それなのに部下には、あーだこーだ煩くてさ。ならアンタがやれって感じだし。そんなヤツより私がなったほうが絶対良いと思わない!?」


つい感情に浸り過ぎ、机を勢いよく叩いてしまった。


「あ……、ごめん」
「いーんじゃねェの?言いたいことは言っとかねェと損すんぞ」


なんて心に響く言葉なんだろう。本当、ゾロの言う通りだよね。


「ありがとう、ゾロ」
「礼を言われるようなことはしてねェよ」


ゾロはそう言ったけど嬉しかったよ、私。


▽20111121