仕事場に着いた私は案の定、上司に怒られた。くっそー、こっちの事情も知らず。と思いつつも、すみませんでしたと頭を下げるだけ。こんなときは一人で飲むしかない。って、ゾロも居るんだった。


「矢澤さーん、これのコピーお願い!」
「あ、はい!」


上司に怒られ終わった後は、いつも通りに働くが、やっぱり頭の片隅でゾロのことを心配してしまう。


「お疲れ様でしたー!」


何とか仕事を終え、急いで家へ帰る。そういえば、朝、家のカギ閉めたっけ?まぁ、泥棒が入ってもゾロが居るから大丈夫かな?そんなことを考えながら家に帰る。


「ただいま」
「おー、お帰り」


よかったー、ちゃんとゾロ居るじゃん。さて、夕飯でも作るか。


「………」


冷蔵庫を開けようと手を伸ばすが、何だかゾロの視線が痛い。


「なーに、ゾロ」
「い、いや。何でもねェ」
「そう?」


冷蔵庫を開けると驚いたことに中身がない。


「ちょ、ちょっと!何も無いじゃない!!」
「悪ィ……」
「“悪ィ”じゃない!」


迂闊だった。何てったってあのゾロだ。ここにあるものだけじゃ足りないよね。ビールも無くなってるし。


「しょうがない」


ぱたん、と冷蔵庫のドアを閉め、財布を持って近くのスーパーへ向かおうとする。


「どこ行くんだ?」
「スーパー。食べ物買いに行くの」
「じゃ、おれも……」


ゾロは体を起こし、立ち上がり私の方へ来るが、ダメと私が言うとゾロは立ち止まる。


「何でだよ」
「刀持ったままだし、こんな格好じゃダメ」
「あ……」
「服も買ってくるから」


じゃ、と手を振って家を後にした。


▽20110723