ゾロを見つめながら、ただ立ちすくむ私。だってゾロは漫画の中のキャラクターなのに、どうして現実世界にいるのよ。もしかして、キャラクターのコスプレをしている人なのかも。なんて考えていると、ゾロは目を開けて辺りを見回した。


「ここ……、何処だ?」


わお!まさしくアニワンのゾロの声!

と思って驚いていると、ぱちっと目が合う。お前誰だ、と聞かれ咄嗟に名前を言う。


「矢澤沙枝です…」


ゾロは聞いたことねェ、と呟いて話を続ける。


「で、ここは何処なんだ」
「に、日本ですけど…」


ガチで真似をしているコスプレーヤーなのか、と思いつつも質問に答えた。


「あの…、あなたゾロですよね」


そう問い掛けてみると、ゾロは目を見開き、驚いた様子で私を見る。


「てめェ…、海軍か…?」
「え!?違いますよ!」


思ってもいなかった言葉が返って来て、しどろもどろしていると、ゾロはまた口を開いた。


「船番で昼寝してたんだ。おれらの船知らねェか?」


嘘をついている様な目ではない。本当に漫画のゾロみたいな目付きで私を見る。本当に本当に本当に、この人は。


「ゾロなの……?」
「あァ」


どうしよう!本当に漫画の世界から来ちゃったっていうの!?


▽20110604