毎日、楽しくなくても笑って、笑いつづけて、上司の機嫌を損なわないように、友達にいいように思われるように努力し続けた。今日は同僚との飲み会で、ちょっと飲み過ぎた。


「お疲れ様、自分…」


一人ぽつりと帰りながら呟く。少しフラフラしながらも、家に着いた私は直ぐさまベッドに寝転び意識を失った。


〜〜♪〜〜♪


携帯が鳴り響く。眠い目を擦りながら手探りで携帯を探す。


「もしもーし」


携帯を手に取り、そう言うが返事はない。もしかしてと思い画面を見ると、案の定電話ではなくメールだった。それは同僚からのメールで、今日どうしたの、とのメールだった。時刻を見れば、7時半過ぎ。


「し、仕事ー!!」


到底、間に合う訳がない。ちくしょー、昨日あんなに飲んでしまったからだ。少し悔いを感じながら急いで準備をしようとすると、足に何かが引っ掛かり思いっ切り転んだ。


「ぎゃっ!」


こんなところに物なんて置いたっけ、と思いながら振り向くと、そこには見知らぬ男の人が居た。


「えーっ!!!」


昨日、酔った勢いで誰かを連れて来てしまったのか、と思ったが、どう見ても同僚ではない。

「あ、あのー…」


声をかけても返事はない。もしかして、帰ってから無意識にまた出掛けて逆ナンしちゃったとか!?


「もしもし…」


いろいろな妄想が頭に浮かぶ中、男の人を揺さ振って起こそうとする。


「ん……」


男の人が少し動き、とりあえず生きていることが分かったので安堵のため息をつく。


「あの、どちらさまですか?」


そう問い掛けた直後にハッとする。この人が見たことがある人だと。緑の髪に、左耳に3個のピアス、腰には三本の刀。


「この人って……、ゾロじゃないの」


そう、あの有名な漫画の中のキャラクターの。


▽20110529