私の彼氏のゾロは“ド”が付くほどのSなんです。この前だって、私がゾロの前を通った時に足を引っ掛けられて転んだし。それなのにゾロってば、足が長いからしょうがねェ、とか言って謝らなかったんだよ!本当に自分はゾロの彼女なのか心配になっちゃうよ。
「よぉ、名前」
「出たな、ドS!」
手を振りながら私に近付くゾロにそう言うと、眉間に皺を寄せて、何言ってんだ、と一言。
「何言ってんだ、じゃないよ!」
「は?」
「私の心はガラスのハートなのに、ゾロのせいで粉々なんだからね!」
「なに意味の分からねェことを…」
「分かってよ!ブロークンハートなの!!」
分かったから落ち着け、とゾロは私の頭を撫でた。こういう所が好きすぎる。
「どうしてゾロは私を虐めるの…?」
「虐めてるか?」
本人自覚無しですか。生粋のドSじゃありませんか。
「足引っ掛けたりしてくるじゃん……」
そう言ってみると、ゾロは、それは、と口を開く。
「それは……?」
「好きな子は虐めちゃうやつだって居るだろーが」
つまり、
「へ!?」
世の中にはそういう人が居ることくらい知ってるけど、彼女までをも虐めちゃう人って居るんだ、と思い、ぽかんとしていると、またゾロは私の頭に手を置いた。と思ったら、今度は髪の毛をぐしゃぐしゃにされた。
「あー!何すんのよ、ゾロ!!」
「悪ィ、つい」
「“つい”じゃなーい!」
ゾロにとって、私を虐めることは、私を好きという意味で。よくよく考えればゾロらしいとも思えるかな、なんて。
それは愛でした
「そんなゾロが大好きだー!」
「アホ」
「ぎゃっ!どつかなくたっていいじゃんよ…」
「悪ィ」
「まぁ、いいよ。それがゾロなりの愛し方だって分かったから」
「………好きだ」
「え!?」
「の反対の反対の反対の反対の反対の反対」
「もう自分でもどっちだか分かんないでしょ」
「……あぁ」
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◎リコさんリクエスト ドSゾロとのお話
▽20110529
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