放課後、私は一人で教室に残っていた。理由は日直だというのに、日誌を書くのを忘れていたというドジなことをしてしまったからだ。 「お、終わらない……」 今日授業で何をやったかなんてさっぱり覚えていない私は、一生懸命思い出しながら日誌を書いていると教室のドアが開いた。 「ゾロ…」 「あ?名前か、何で居るんだ?」 ゾロはタオルで汗を拭きながら、私の前に座る。 「日誌か」 「うん、書き忘れてて…」 あー、なんかドジなのバレちゃうよ。話題変えとくか、いちおう。 「ゾロはどうして戻って来たの?部活中でしょ?」 「代えのタオル取りに来たんだ」 「ふーん」 それから私は、日誌を書くのに集中しようと下を向く。うーん。やっぱり何をやったか思い出せない。 「数Bは漸化式、生物はホルモンの働き、世界史は中華文明…」 「え、すごい!よく覚えてるね!」 ゾロは授業中寝てることが多いのに覚えているなんて。尊敬するわー。 「ありがとう!ゾロのおかげで早く終わりそう」 「あァ…」 ちゃっちゃと日誌を書き、先生の所へ提出しに行こうと席を立つ。 「なァ、あのさ」 「ん?」 どうして部活行かないんだろう、と思いつつもゾロに返事をする。 「今度の土曜、試合やるんだけど、お前来ねェ?」 「え、行ってもいいけど…」 突然の誘いに少し戸惑いながらも、行くと言ってしまった。 「おれ、その試合に勝ったら、お前に言いてェことがあんだ」 「う、うん」 「だから、ぜってェ来い!」 それだけ言い残してゾロは教室を出ていってしまった。 「そ、それって…もしかして……」 さっきまで、教室にはゾロと私だけ。要するに二人きり。 ふたり (続きはその後で) ▽20120311 |