ぐぅ、きゅるきゅる。私のお腹が唸りだす。時刻は午前11時。要するに、まだ3時間目の途中である。


「お腹すいた…」


ハァ、と溜め息をつくと、またもやお腹がなる音が聞こえた。あれ?私鳴ってないよね。しかも私より音大きいし。チラッと隣の席のアレンを見ると、今にも死にそうな顔をしている。


「ア、アレン…?」

「名前……。もう僕、お腹空きすぎて死にそうです」


お腹を押さえながら言うアレン。しかし、またもやお腹から音が鳴る。


「あははっ。私もお腹空いた」

「なんか買っとくべきでした…」

「でも金欠なんだよねー、私」

「そうなんですか〜」


しばしの沈黙の後、ぐぅ〜、と二人のお腹が同時に鳴る。それと一緒に、私とアレンは顔を合わせて笑う。


「お腹空いた、お腹空いた、お腹空いた、お腹空いた」

「やめてー、アレン!こっちまで死にそうになる!」


耳を塞いで、アレンの呪文を聞かないようにする。だってこんな言葉聞いたら、もっとお腹なっちゃうよ。そんな会話を繰り広げている間に、3時間目の終了を告げるチャイムが鳴った。


「終わったー!」

「あの、よければお昼食べに行きません?」

「え、でも、まだ授業が…」

「大丈夫ですよ」


いや、何が大丈夫なのか分からないけど、この空腹には負けられない。


「あ、でも私、お金が…」

「僕が払うんで」

「………じゃあ、お言葉に甘えて」


そう言うと、アレンは私の腕を掴んで教室を飛び出し、陽だまりへ向かった。



陽だまり
(何食べようなかな〜)
(高いのはやめて下さいね)
(ケチー)


▽20120106