好きで好きで大好きすぎて、やっとの思いで私はサンジと付き合えた。だけどサンジは私のことなんて好きじゃないんだ。


「サンジどこ行ったんだろ…」


今日は付き合いはじめて3ヶ月になる記念日。そんなことを思っているのは私だけかもしれないけど。せめて今日くらいは一緒にいたい、そんなことを思いながら私は街の中でサンジを探す。


「見つからないな……」


ハァ、と深い溜め息をついた途端、目の前にサンジの姿を見付けた。


「サン……っ」


サンジ、と呼ぼうとしたがサンジは女の人と一緒に歩いていた。

どうして…?

私はサンジと女の人が歩くのを見つめるだけ。二人の姿が見えなくなると、私はゆっくりと足を動かした。


「………サンジ、」


ぽつり、彼の名前を言ってみた。だけど私の前に彼が現れる訳でもなく。そのまま街の裏の丘の上まで行った。


「今日くらいはサンジといたかったなー」


それから私は静かに目を閉じた。

目を覚ますと、もうすっかり辺りは暗くなっていた。あれから何時間たったのだろう。


「もう船に戻んなくてもいいかな…」

「よくねェだろ」


思いがけない声が私の後ろから聞こえた。なんで来たの、と聞いてみれば帰ってこないからだ、と言われた。


「サンジ、私のこと好き?」

「あァ、好きだ」


私の隣に座るサンジ。どうせ私だけじゃなくて、みんな好きなんでしょ。


「そっか…、じゃあ」


私は隣にいるサンジを見つめて口を開いた。


「別れよ」


それだけ残して、私は船に戻った。

大好きなサンジ。大好きだったサンジ。







▽20111127



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