バンッ、と勢いよくドアを開けた私は、ある人を探す。その人を見付けた私は直ぐさま駆け寄った。 「静雄さんッ!」 「ん?あぁ、名前か」 私の好きな人、平和島静雄は自動喧嘩人形と呼ばれている池袋最強の人。だから、静雄さんは喧嘩をしてもたいして怪我をしなかったのに今回は血だらけだ。 「お前、何で居んだ?」 「トムさんから静雄さんが怪我したって連絡来て……」 静雄さんの傷口からはポタポタと血が垂れている。 「し、静雄さん!病院行きましょ!」 どうにかしなきゃと思った私は、静雄さんの手を掴み病院へ向かおうとする。 「なぁ、お前も怪我してんじゃねーか?絆創膏買いに行くぞ」 「え?」 静雄さんの手を掴んでいた左手には、家を出る前に包丁で切ってしまった小さな怪我。 「こんなもの静雄さんのに比べれば大丈夫です!」 「俺だって大丈夫だ。痛くもねぇ」 「そんなことありません!」 そう言った時、不意に無意識に繋いでいた手が目に入る。 「うわぁ!すみません、すみません!」 私は手を離して手首を掴み直し、病院へ向かおうと歩き始める。 「何で変えたんだよ」 静雄さんのその一言で私の足が止まった。 「何がですか……?」 「手、何で変えたんだ?」 「し、静雄さんが嫌かと……」 「そんなことねぇよ」 静雄さんはそう言うと私の手を掴み歩き始めた。 (とりあえず絆創膏買いに行くぞ) (いや!病院が先です!) |