夏休み。特にやることもない俺は、幼なじみの家に遊びに行った。約束では帝人も来る予定だ。そんな中、家には俺と名前の二人きりで居る。テーブルの上にあったスイカに手を伸ばすと、名前は「まだ帝人が来てないからダメ」と言った。


「良いじゃん。食いたいんだもん」

「………しょうがないな」


その言葉を聞いた俺は、スイカを手に取り、口へ運ぶ。そして、名前は俺の目の前の椅子に座った。


「なぁ、俺さ」

「あたしは帝人が好きだから」


まだ言ってもないのに即答かよ、と思いながらもスイカを食べる。まぁ、何度か告白してるから、俺が何を言いたいのか勘付いたのだろう。


「お前が帝人を好きでも、俺はお前が好きだから」


俺はスイカを皿に置き、名前の隣まで行く。


「な、何よ……」


あぁ、キスでもして無理矢理俺のものにすっか、と思ったがそんなことを名前にすることも出来ず。



「正臣?」

「どうして帝人なんだよ」

「だって、正臣は女の子みんな好きだし。正直、あたしに言ってる好きとみんなに言ってる好きは一緒じゃないかって思うの」

「そんなことねーよ。俺は名前が一番だ」

「帝人はきっと一途でしょ?あたしは一途な人が良いの」


俺を見ながらニッコリ笑う名前。


「俺だって、名前と付き合ったら他の女には好きなんて言わないし。ナンパだって止めるぜ?」

「本当かな……」

「俺は名前が好きだ」


そう言った途端、チャイムが鳴った。


「帝人が来たから、その話止めよ」


名前は表情も変えず、走って玄関に向かった。俺はそれをただ見つめるだけ。









(帝人!お前なタイミング悪いんだよ)
(え、何が?)

▽20110312