携帯を眺めながら溜息をつく。ただ、好きな子にメールをしたいだけなのに送れない。僕はなんて小心者なんだ。


「こういう時は、正臣みたいになりたいなーって思うんだよな……」


パカパカと何度も携帯を開けたり閉めたりしていると、突然着信音が鳴り響く。

だ、誰だ!?

僕は携帯を開き相手を確認する。


「正臣だ…」


電話に出た途端、正臣は『今、何してる?』と一言。


「いや……別に何もしてないけど」

『ならバビューンとファミレスに来ちゃいな帝人!お前の愛しい子もいるぜー』

「ま、正臣!」

『で?来るの?来ないの?』

「あのさ、その前に一つ……。好きな子にメールするときどんなこと書く?」

『そんなの、俺の愛をめいいっぱい送るのみ!』

「ごめん。正臣に聞いた僕が馬鹿だった」

『おい、帝人!お前な!』


僕は正臣が話してる途中で電話を切った。何故だか、正臣と話していたら無性にメールを送りたくなってしまった。一応、好きな子に送るメールの本文は出来ている。僕はそれを何度も間違えや可笑しいところが無いか確認した。後は宛先を指定して送信ボタンを押すだけなのだが、なかなか押せない。

無視されちゃったりしたらどうしよう…。やっぱり送るべきじゃないのかな。

そんなことを思い、僕は気持ちを切り替えるために深呼吸をして送信ボタンを押した。


大好きな君へのメール
(あ、メール来た)
(どうせ帝人からだろ?)
(何で分かるの、正臣?)
(エスパー伊藤だから)
(寒ッ)

▽20110304



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