「獄寺くーんっ!おはよ!!」


下駄箱で偶然出会ったクラスメイト、獄寺隼人に挨拶をする。獄寺くんは見た目が怖いので、あまり人が近寄らない。そんな人にも挨拶する私ってなんていい子なんだ!


「…………」


うわっ、せっかく挨拶してやったのに無視かよ!完全に無視なのか!?

そんなことを思いながらも少し悔しい私。チラッと獄寺くんを見ると、なんと獄寺くんは音楽を聞いているではないか。しかも、ガッシャガッシャと音が漏れている。どんだけ大音量で聞いているんだか。私は獄寺くんの聞いていた片方のイヤホンを耳から取り、もう一度挨拶をする。


「おーはーよー!!」

「あぁ、はよ」


突然イヤホンを取られ、尚且つ挨拶もされたからか驚く獄寺くん。私が持っているイヤホンからは音楽が聞こえてくる。その曲はどこかで聞いたことがあるような気がし、私は耳を研ぎ澄ました。


「こ、これ!ベンプじゃん!」

「そうだけど……」


大好きなベンプの曲だと分かった私は、イヤホンを耳に入れる。ちょっと音大きすぎるけど。


「良いよねー、この曲」

「オレもこの曲好きだぜ」

「私も大好き!」


そんな会話をしていると、いつの間にか獄寺くんと腕が触れ合っていた。それを知った私は急にドキドキし始める。

隣にはクラスメイトの獄寺隼人。二人の耳には半分このイヤホン。

それだけなのに、何故だか暑くなってしまった。


半分このイヤホン


▽20110302